誕生日会
2020年06月1日 | 特別養護老人ホーム
5月に97歳の誕生日を迎えられた入居者様の誕生会を行いました。
この方は以前うなぎ屋を営んでおり、今でも時折「うなぎを味見するから持ってきて」などおっしゃることがあっていました。
本当はうなぎを食べに外食を、と考えていましたが、コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛期間でもあり、施設でうなぎのかば焼きを提供できないか思い至りました。
栄養士や看護師に相談したところ、疾患や食事形態がペースト食でもあるため、うなぎをそのまま提供することは難しい、すり身で代替してはどうかと提案があり、すり身を使って「うなぎのかば焼き風」を作り、お祝いとして提供しようと考えました。
すり身をうなぎのように成形し、ユニットに備え付けられたキッチンのグリルでかば焼きのタレを数回に分けて塗りながら焦げ目をつけ、タレを仕上げにさらに塗って完成です。
できあがる頃にはタレの焦げた甘辛い香りがユニット内に立ち込め、職員だけでなく入居者様からも「良か香りね。なんば作りよっと?」との声が上がりました。
いざ、誕生日会が開かれ、お祝いの言葉とともにうなぎのかば焼き風を贈りました。「うなぎのかば焼きですよ!」と笑顔で贈る職員の期待をよそに「食べんでいい」とはじめの反応はいまいち…。あれれ?食べたいと、たまにおっしゃっていましたが…。 しかし、さらにすすめて提供してみると「おいしい!」と食べてくださいました。
さまざまな方からお祝いを受け、途中、「ありがとう」と涙ぐまれる場面もあり、楽しくも少し感動してしまった誕生日会となりました。
文章: 岩 綾子